2017年1月29日日曜日

サラゴサのパビリオンブリッジ

サラゴサのパビリオンブリッジ (Bridge pavilion, Lc=185m, 2008)

サラゴサ万博会場の入り口、エブロ川にかかる歩道橋、兼、パビリオン。
ザハ・ハディッドの作品。
廃案となってしまった国立競技場のザハ案に対して、元首相が「生牡蠣がどろっとしたような。。。」という発言をしていたときに、無知はおそろしいと思って聞きましたが、この橋の橋脚周りを見て思い出してしまいました。
前夜、ザハ氏のデザインしたのホテルに泊まって興奮した私ですが、この橋については、万博仕様から、日常ユース用に、リノベーションしてほしいです。
この橋脚周りは醜い。。
土手の鉄製護岸も短期仕様のようで、はりぼて感が出ています。
橋の入り口は閉鎖されていて渡れませんでした。

完成した現物で見るだけでは、主構造は隠されており判読不能です。中にはアーチリブのようなものが見えますが、ライズが浅く、アーチ橋ではなさそうです。
あまり外から見た印象がよくなかったので、構造を追いかける気持ちはわきませんでしたが、やはりなぜこのような重い物が残ったのか気になったので、帰ってから骨組みが見える工事中の写真を探しました。
https://en.wikiarquitectura.com/index.php/Bridge_Pavilion_Expo'08#Construction

施工中の写真を見ると、流体を表現するような装飾のためにカバーされていると思っていた桁下のナメクジの足は、桁が太ったもので構造部材のようです。一般的な箱桁として、標準的な支間桁高比を1/22とすると桁高は8m。
アーチリブのようなものも、単なる屋根にしては断面が大きいので、桁の負担が大きいランガー橋というのが私の見立てです。

橋梁も歩道橋ならば形態優先でなんとでもなりますが、185mクラスとなると、ファサード、ディテールは形態を追求しても、計画は構造デザインが主導し、構造のデザイン・骨組みの多様性が形態を示す領域と思います。この橋は若干形態が勝ちすぎたバランスのように感じました。
入り口からのぞくと、桁から上はわくわくさせてくれそうなザハ氏らしいなめらかな階層構造がみえます。駅側の入り口が1つで出口が3つになっており、内部がどのような流れになっているか興味がわきます。
ぜひ、歩道橋、兼、カフェ・展示場などとして改装して人のいる場所にしてほしいです。
280mの橋。工事費35million Euro。一過性にしてしまう規模ではないです。

場所はサラゴサ駅からエブロ川ヘ向かって歩いて20分。
この橋は渡れないので、3つの出口へ行くには、上流の世界最長のコンクリートタイドアーチ橋、テルセルミレニオ橋まで迂回します。