2018年9月2日日曜日

デスクの拡張工事(その2)一枚板のひび割れ埋め

ブラックウォールナット一枚板の耳の研磨から塗装まで

板の平面出しができたら、残る作業は次の4つ。

【工程2】耳の研磨
【工程3】ひび割れ埋め
【工程4】側面を直角にカット
【工程5】塗装

工具や材料が近くのホームセンターでは売っていないものばかりでしたので、ネットで材料の注文を木曜朝までに済ませ、塗装の1度塗りまでを土曜日、上塗りを日曜日にやりました。

準備した工具類
・アロンアルファ銘木用(amazon, monotaroでも売ってない)
・有効長の長いジグソーの刃126mm 5本組 1825円
・トリマービット、マキタ コロ付フラッシュビット刃長25mm 2650円
・オスモカラーエキストラクリア#1101 0.75l  5292円
・オスモカラーノーマルクリア#3101 0.75l  6250円
以上通販、以下ホームセンター
・電動ドリル用サンダーバフ(スチール80番相当、スポンジ600番相当)1300x2個
・コテバケ ハンディ・クラウン INNOVA ワンタッチコテバケ 700円

耳の研磨
樹皮を剥ぐ際にできたかんな傷?をアフロ型のサンダーバフで磨きます。グラインダーやベルトサンダーでは、平面に削りすぎてしまうので、ホームセンターにあったこれを試してみました。
サンダーバフ研磨後
滑らかに削りすぎず、木材本来の凸凹は残ったまま磨かれていい感じです。スチールのアフロの後は、不織布のアフロと紙ヤスリの手磨きで仕上げました。塗装してみると、耳はけっこう雑な磨きで、刃の後や、やすり傷が残っていても天然木のワイルドな味として見れる感じです。
アフロ君はこの1枚を仕上げたところで、小さくなってしまいました。ちょっと高めの消耗品。
年輪部分の芯割れ
乾燥で生じた割れを埋めて補修します。
ひび割れは年輪の中心部分から出た芯割れで、内側が引張ということは、内部応力のバランスで、外側は圧縮反力を受け持ったはずと考えて、少なくともこのひびが外へ進捗することはない、外に割れるとしたら別の場所、と判断してちぎりで拘束はせず、ここは埋めることにしました。
ひびにヤスリがけで出た削りくずを入れて、接着剤を注入して固める。木くずと漆などの接着剤を練り込んだ補修剤を木屎というそうです。木の屎でひび割れを埋めていきます。
接着剤はおとなしく溝に染みていかず速やかに拡がってしまう。
バインダーは普通の接着剤でもいいらしいです。初めてなので安全に銘木用と名前のついた接着剤にしました。
最初は溝に収めるように努力しましたがあきらめました。木くずは接着剤を吸ってへこんでいくので、盛っては塗り、を何回か繰り返します。それでも磨いてみると、アンダーカットが出て盛り直しを繰り返しました。
埋めてヤスリがけしたあと
見た目も手触りも完全につるつるの一体面になりました。ところどころ接着剤を吸収していない明るい木の色の点々が出ています。もう一度削って盛り直せば完璧ですが、手触りも良かったのでよしとしました。
ひび割れ補修箇所の塗装後。オスモカラーノーマルクリア後12時間。
気になっていたのは、接着剤が拡がって染みこんだ跡が塗装後にのこってしまうのではないかということでした。
上はオスモカラーでオイル塗装した後です。ひびの両脇にうっすらと光沢の違う、つるつるになっている感じの幅があります。木に吸収されて木の質が変わったという感じではなく、木目や導管が接着剤の範囲が埋まった感じです。
注意すればわかる違いなので合格。

本当は、ひび割れ補修を先にやって、後から、表面研磨をすれば、接着剤が浸透した範囲を削れるので、工程を逆にすべきでした。
平面出しをやってみたくていそいそと先にやってしまったのが真相です。
木口の直線カット
ジグソーで荒く形取り
長めの刃を買いました。丸鋸は怖いので買いません。トリマーもうっかり止まりかけのビットが治具にあたると深くえぐれる威力があり怖いので、使用を避けていますが、今回は主役でした。
表面側から、トップベアリングのビットでガイドの板に沿いながらビットが届くところまで木口の平面を作っていきます。

トップベアリングビット10mmとフラッシュビット25mm。ベアリングの位置が上下逆。
黄色のトップベアリングビットで30mmまで削った後、板をひっくり返して、反対面からフラッシュビットで、既に削り終わった部分を先端のベアリングのガイドにして、残りの20mmを削ります。50mmの厚板の木口が、案外簡単にゆがみや凸凹なくきれいな平面になりました。
塗装前最後の研磨
かんなは上手く使えないとあきらめているので、ヤスリで仕上げます。
研磨に使った道具。左上にベルトサンダー。右下に#600相当のサンダーバフを付けた電動ドリル。板の上はホルダーに紙ヤスリをつけたもの。#120, #240, #400。
#400でもヤスリ目がつくのですが、オスモカラーは#240で仕上げて塗料を吸収させるのがよいとのことなので、#400は控えめに磨きました。
木目が一方向ではなく、#240では磨き傷と木目の方向が違って、いかにもヤスリがけしましたと見える場所があったので#400も少しかけました。

ベルトサンダーは#80と#180のうち、#180しか使いませんでした。新品のベルトだと#180でも削れすぎる。表面を素手でなでながら一箇所が削れて波打たないように注意して磨きました。
作業が一通りおわる頃には、ベルトサンダーの#180がつるつるになって、#400の紙ヤスリ並の仕上げ用になっていました。

写真が多いので改ページ。→その3

デスクの拡張工事(その3)一枚板のオスモカラー塗装

ブラックウォールナット一枚板のオスモカラー塗装

研磨が完了し塗装に入ります。
塗料はオイル塗装。オスモカラーを選びました。
磨きが終わり、表面を空ぞうきんで拭いて塗装準備完了
オスモカラーエキストラクリアー。缶のふたは堅い。残った塗料を再度密封するために、なるべくふたをゆがませずに開けること。
塗り一回目。木目がくっきり出てきました。
派手な杢。すばらしい。

最初にエキストラクリアーを塗った直後
他サイトと比べると明らかに塗りすぎの方だと思われる。樹皮に近い方は吸収がよく乾いていることがわかる。12時間後もしっとりしていた気がする。ただし、この後、ノーマルクリアを塗って一週間経ったら一様に渋い光沢になった。結果オーライ。

さてオスモカラーは缶のふたに書いてあるとおり厚塗り注意といわれています。多くの方が塗った後にウエスで拭き取りされています。一方で、オスモカラーのサイトでは拭き取らないことが薦められており、また、拭き取ってしまうと表面に残った木の保護成分を取り去ってしまうので、保護上はよろしくないという情報が書かれたサイトもありました。
どちらかというとネット上は拭き取り派が多い感じ。

木に十分浸透させる量までもきれいにぬぐってはいけないのではないか。浸透はきちんとさせた後に極薄の表面保護分を残すのが理想なのだろうと想像しました。
毎日使う机なので、最初だけ見た目がきれいでも、ちょっと拭き忘れただけで染みだらけになってしまうのも用途からすると塗料の意味がありません。

とはいえ、どのくらい塗ったらいいか、初めてが本番の私には分かりません。
うすくと言っても、程度は幅広いです。

そこでいろいろな情報を踏まえて、
・うすく一様に塗れるコテバケを使って延ばし、拭き取りはしない。
としました。

刷毛では延ばし損ねが出やすく厚塗りになりやすいですが、コテバケは拭き取りながら延ばしているようなもので、超厚塗りは避けられるのではないか、と。

結局、感覚ですが、コテバケを使って、裏は普通に厚塗りしないってこのくらいかなという量、表はぎりぎり塗れる量で延ばしてみました。
少し分かったことは、

・缶に書いてある塗装面積12m2は、木材によってまったくあてにならない。密度の高いブラックウォールナットはちっとも吸わないので、12m2を目安にトレイに出したらほとんど余ってしまった。残りを合板に塗ったら、狭い面積でウォールナットよりだいぶ吸い込んだ。
・白太部分はよく浸み、年輪部分や杢部分はすぐに吸わないので、塗った直後からムラのように見える(上の写真。粘度の薄いエキストラクリアの例)。吸ったように見えるところは、何回か刷毛を往復させました。12時間後乾いた後に、ノーマルクリアを上塗りして、さらに、一週間経つとこの染み込みの差はなくなった。ウォールナットは吸い込むのに時間がかかるのかもしれない。
・12時間後にはうっすら見えた刷毛目の箇所があったが、一週間後にはさらに薄くなった気がする。
・他の塗料同様に、一度塗って、最後の刷毛を終えたらちょっと気になっても触らない方がいいと思う。30分後にネットで見て塗りすぎかなと気になりましたが、ぬぐうのはやめてじっくり放置しました。
・コテバケは塗りのばしが大変楽でした。ローラーのように泡で苦労することもない。
・ノーマルクリアを無理に減らさず延ばした面と、できるだけ延ばした面(コテバケの上の方でちょんちょんとを2回で十分塗れてしまった。)で出来上がりの見た目は変わらなかった。なので、無理やり延ばすのを失敗してちょっと多くても大丈夫ではないかと。
余った塗料で塗った合板。これだけでウォールナット1面と同じくらい使用。
上塗り。オスモカラーノーマルクリア(三分艶)。粘度が高い、よく延びる。
ほっとんど残りました。物はいいけど缶でかすぎ。

ノーマルカラーを塗った直後(裏面)見た目べっとりしていますがこれでもまあまあ薄く延ばしたつもり。一週間後の写真が下にあります。
ノーマルクリア塗装12時間後(表面)色の違いは光の加減が違うだけ。
渋い光沢。いいんじゃないの。下の写真、消し損ねのヤスリ目が見えます。オイル塗装にいえるのは、乾燥後は下地処理がそのまま出るので、ヤスリがけは仕上げだと思って丁寧に。

裏面の一週間後。塗った直後の写真ではべったりして見えますが、乾燥後は厚塗りが固まったような表面のべっとりした感じや、保護膜が分厚い感じはありません。

以前の天板。60年物の刑務所作業製品。お世話になりました。

ディスプレイを置いても作業スペースが出来ました。ひろびろ。
残ったオスモカラーを他の木にも塗ってみました。SPF材。見た目には塗る価値なし。

けんぽ梨。木目が浮き出しました。
塗った中では、ブラックウォールナットとの相性が抜群にいいです。

2018年9月1日土曜日

デスクの拡張工事(その1)一枚板の平面出し

ブラックウォールナット一枚板の平面出し

長年使っていた机の上が手狭になってきたので、天板を取り替えて拡張することにしました。
机は、祖父母宅にあった母が学生時代につかったものを、大学時代に譲り受けた60年ものです。刑務所作業製品で質実剛健。
四畳半に置く勉強机には手ごろなサイズでしたが、パソコンのディスプレイとキーボードが乗る時代になると作業スペースがなくちょっと厳しくなったので、ディスプレイ分の奥行きと、せっかくなので横幅も広めの板を探しました。

いろいろな机の寸法を測った結果、サイズの奥行き70cm、横幅110cmがよさそうだということで板を探しました。そして、とっこやさんで見たブラックウォールナットの表情に惹かれて、14周年記念の20%offに背中を後押しされて買ってしまいました。
一枚板の素材屋さんで買い手を待つブラックウォールナット一枚板。厚さ60mm、35kgぐらい。

この板が気になってから購入に踏ん切るのに2ヶ月くらいかかったのは、20%引き前の7万9千円という金額(無垢でも集成材なら3万円で買えるじゃない。)と、愉快な木目ゆえに乾燥期間に生じた反りねじりがそこそこ大きそうなことでした。

ここでは、反り捩りのある乾燥材から、平面出し、塗装までの天板の加工工程を写真で追いかけます。
もちろん初めてです。

一枚板の平面出しは、いろいろなサイトでDIY熟練の方や家具職人さん達が公表されている通りですが、いざやってみると意外と気をつかったところや、いい加減でもなんとかなってしまうところがあるので、記録を残しておきます。
作業開始
既に綺麗じゃないか!で、確かに綺麗なんですが、これが台に乗せてみると、対角線の支点が浮き上がるのでねじれていることが分かります。
作業図
板を置く台は90x90の角材2本の上に、2x4のSPF材を井形に並べました。ホームセンターで、安くて直線が出ている木材を探しに、角材をくるくるまわして隣の柱との隙間を見ながら直線を比べた結果、この組合せがきちんとしていました。
建築構造用の角柱は結構曲がっていて、SPFは比較的まっすぐでした。長さはホームセンターで1カット50円で切ってもらって持ち帰ります。楽が出来るところは楽をします。

SPFの直線性が板の平面度になります。土台の角材がねじれていてもやはり平面は出ないです。
縦方向に反っています
横方向にも反っています。
反りを修正していないおかげでこんな個性的な板が7万円で手に入ります。とっこやさんに感謝、ネットの時代に感謝。このサイズでの完成品の販売価格は、座卓の天板に比べるとサイズが小さいのでお安めですが、それでも15万円以上、というか時価の世界のようです。
まずは、どのくらい反っているか反り具合の計測。
SPF材の間に渡した橋から板の距離を10cmピッチで測ってみました。
計測結果。
中央左の一番浅いところが4.5mm。左下角が20.5mm、右上角が14.5mm。反対の対角線の角は10mmくらいなので、反りとともに、結構ねじれていてそのまま置くと10mmくらい浮き上がることが分かりました。
計測したときは、浮き上がった対角線に同じ厚さの薄い合板をはさんで高さ調整をしただけですが、このまま、盛り上がっているところを削って平面にしていくのが、一枚板の残りの厚さがもっとも厚く残せる位置のようです。

とはいえ、20.5-4.5=16mmをすべて削って平面にすると、もし反対面も16mm削るとして、32mm減では、60mmの板が28mmになってしまってもったいないので、角のあまり机では使わない場所は少し低くても許すことにしました。
結局、12mmくらいまで削ったので、だいたい8mm削った感じです。

ここは、自分で作って自分で使うから許されるところ。
削り作業に入る前に井形を仮固定
平面出しの方法は、一枚板から一定の高さを確保したルーターをひたすら往復させて表面を削ることで、平面を作っていきます。
この治具の詳しいことは”一枚板””平面出し”でいろいろな方が説明されてます。
橋はたわみにくいようにある程度高さのある1 x 4材を両脇に立てて、ルーターが滑るところは合板を3箇所でつなぎました。つなぎ板はレールをはさむよりも、底の合板がねじれて変形して、ルーターの高さが変わってしまわないために重要です。

これでも誤って橋の真ん中へんで体重をかけると橋がわずかにたわんで、隣の削り跡より深くなってしまいます。なので、合板もあまり薄くても具合が悪いです。
ビット。今回購入した中で集塵機の次に高かった工具。4500円。
ビットは、なるべく径が大きい方が往復作業が少なくて楽だろうと考えて、BTMTの刃径25mm ミックス4枚刃「大入れ&プレナー」ビットというものを購入しました。ルーターはリョービの入門者用ですが、作業にはまったく問題なしです。プラスチックの台座の高さの微調整は難しいと思いましたが、差し金でコンコン叩くと微妙な調整も問題なくできました。

ビットの突き出る長さが限られているので、一枚板が橋に近づくように、一枚板の下に合板をシム代わりに入れて削られる一枚板の高さを上げています。
緊張の第一刀。ちょっと欲張って深かったので、ルーターが暴れそうになりました。
2刀目以降は、少し浅めにしました。最大2mm。
上に書いたように、ルーターに力を入れると橋がたわんでしまうので、1回に削る深さはなるべくルーターを抑えつける力を入れないでいい深さにするのがよさそう。
順次削っていきます。
削り前
第一回
二往復目
三往復目
四往復目
最後浅めに削っておしまい。綺麗な削り跡に満足。
段差があるように見えますが、段差は薄くベルトサンダーで簡単に消えます。消えにくいのは、ビットが噛んでしまって輪っかのマークがついた所。

裏も削ります。削ったところは平らで、これから削るところは凹んでいて定規が浮いている。
こちらもどんどん平面が広がっていきます。
裏面は、脚にのせる4辺の高さが同じになればよいので、これでおしまい。
デスクの表側はワイルドな耳が見えるよりも、使う面が端まで平面である方が使いやすいので、上から見て耳が見えない面積が広い方を上としました。
座卓は耳が上から見える方を表面とする場合が多いようですね。見栄えはいいけど、うっかり湯飲みを端に置いたときにひっくり返りそうで実用上どうなんだろう。
削りくずが大量に出ます
最初は60mmありましたが、50mmまで削りました。
10mm分の削りカス
削りカスが大量に出るので、今回の新兵器、集塵機(写真下)、上にスピードコントローラーが乗っててみえにくい。リョービVC-1150 12000円。
集塵機は飛び抜けてパワーがあるわけでもないけど、ふたが開かなくなるほど量がたまるまで吸引力は落ちませんでした。専門の道具はやはり快適です。
集塵機とルーターの集塵機接続口の径が違ったので、工事用資材を売っているお店でみつけた径の合いそうな100円くらいの塩ビの接続具をグラインダーで削って差し込んで使いました。水用ですかね。
径はあってつなげられたのですが、吸引口が削っている位置から離れているので、直接吸い取ってくれる量は少なかったです。
ルーターで平面を出したら、ベルトサンダーを走りまわらせる。一箇所に集中してへこまないように注意。かんなは持っていないので、一度波打ったらもう一度ルーターで平らにするしか方法がない。
平面出ました!単調な作業だけど面白い。もっと大きい板かかってこい!という気分。

ここまでの所要日数。
・構想・設計         ・・・2ヶ月
・材料買い出しと角材を並べる ・・・1日
・高さ計測          ・・・2時間
・ルーターでの平面出し(両面)・・・2日
・ベルトサンダー       ・・・30分/片面
楽しい時間は短い。