2016年10月8日土曜日

リスボン万博シザのパビリオン

リスボン万博ポルトガル国パビリオン (Portuguese National Pavilion Expo 1998, Lc=80m)

パビリオンのアーキテクトはアルバロ・シザ。エントランスのキャノピーの構造デザインはセシル・バルモンドのグループ(Arup)です。
シンプルで今まで感じたことのないスケール感をもつ構造です。大きくて細かいところがないので、とりあえずは立ち尽くします。

バルモンドが建築と都市AUの記事で、このキャノピーの計画について、
「当初、私はマストとケーブルそして軽量な金属の屋根によるハイテクな解決策を考えていたのだが、そのデザインは軽やかではあるが強さに欠け、気候やシザの作品がもつ雰囲気にふさわしい永続性や実直さをもち合わせていないと考え、そのアイデアを反故とした。」

と述べています。アーキテクトと構造デザイナーでどのような擦り合わせがあるのかわかりませんが、確かにシザとハイテク素材の組み合わせはピンときません。永続性という点では、16年を経過してなお美しく古さを感じさせない状態で、構造デザインの力量を感じます。
吊床版の厚さは150㎜。浮かんでいるように見えるスラブの重量は1000トンです。ポストテンションと説明があります。
施工ステップを見ると、支保工で完成時のカテナリーの位置でスラブを支えたまま、両方の建物から、両端に空間を開けた状態でケーブルにテンションを入れています。幅の広い吊り床版橋。
両側の建物は頑丈なリブが支間方向に入っており、1000トンの自重による水平力を支えるアンカレイジになっています。
コンクリート表面は美しく、プレストレスが効いています。

場所はリスボンオリエンテ駅から海側へショッピングセンターを抜けて徒歩5分です。
オリエンテ駅がカラトラバのこれまた”なんだこれは”な建物なので、駅を降りてから、一度立ち尽くしてこのパビリオンまで2時間かかると申し上げておきます。

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