欧米の中央駅の駅舎はプラットフォーム空間全体を覆う大架構屋根が印象的です。
大空間の例として、アムステルダム中央駅のアーチ屋根(下の写真)。アムステルダム中央駅は東京駅と姉妹駅になっていますが、プラットフォームの屋根は全く違います。
この駅のアーチ屋根は、2つの大きなアーチと中間に小さな屋根で構成されています。1889年に駅本屋側、1922年に北側、1996年に2つの屋根をつなぐ小さいアーチの順で建設されたそうです。
大きいアーチのスパンは45mで、写真は小さいスパンの北側ホーム。
プラットフォーム上に空間を作る方法として、ホームに柱を立てるのがまず考えられる方法。
下の写真はマドリードアトーチャ駅(Madrid Atocha)。設計はホセ・ラファエル・モネーオ。プリツカー賞も受賞したスペインの建築家。
アトーチャ駅は拡張を繰り返し、いくつかの駅舎の集合体になっており、これはサラゴサ万博に合わせて作られた新駅。サラゴサ・バルセロナ方面はこのホームです。
プラットホームの屋根は柱の上に正方形のプレート構造を付け、その間を開口としたもの。
屋根が人が予想する高さを超えて高いこと、柱の間隔が広くとられ、それが正方形となっており、柱がホーム上に直線状になっていることが意識されないため、柱で空間が仕切られている印象があまり感じられません。
不思議な浮遊感があります。
高い柱というのは橋でもそうですが有無を言わさず”七難隠す”ですね。短足で広幅員の橋はどうやっても格好つきません。
これでも圧倒されるが、アトーチャ駅から移動したサラゴサ駅(Zaragoza Delicias)はさらに広い。
どうやってこの大空間を成り立たせたか、元万博会場へ向かう途中から振り返って構造がわかりました。屋根が9本のタイドアーチで支えられています。
駅舎の幅が110m、駅の敷地の都合なのかアーチが軸方向に45度で取り付けられているので、アーチ支間は154m。アーチリブ、タイビームは1.2mx1.0m。
これは橋です。
構造として面白いのは、このアーチのタイビームの鋼箱断面にプレストレスを入れていること。構造デザインのレポートのリンクを貼ります。
日本でも鋼構造にプレストレスの導入を提案されている先生はいらっしゃいますが、実際に新設橋で導入された橋梁は日本にはないと思います。
最近、B活荷重対応などで鋼構造でも補強工事には使われるようになっています。
日常点検できないところにPCケーブルがあるというのは、構造物の長期的な安全性からするとあまりいい状況ではないですが、広い箱内空間で点検ができるならありだと思います。
最近、B活荷重対応などで鋼構造でも補強工事には使われるようになっています。
日常点検できないところにPCケーブルがあるというのは、構造物の長期的な安全性からするとあまりいい状況ではないですが、広い箱内空間で点検ができるならありだと思います。
設計はスペインのカルロス・フェラテール。
駅内部のコンクリートの壁も高い。角の柱を立てたくなるところに空間があいてます。人間とのサイズの違いからか、同じ大空間でも空港の大屋根はどれだけ大がかりでも、鉄道ほどの印象が残らない気がします。
鉄道駅のサイズはちょうど人間が現実感を喪失しない上限のサイズなのでしょうか。この辺も興味深いところです。
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