2018年9月1日土曜日

デスクの拡張工事(その1)一枚板の平面出し

ブラックウォールナット一枚板の平面出し

長年使っていた机の上が手狭になってきたので、天板を取り替えて拡張することにしました。
机は、祖父母宅にあった母が学生時代につかったものを、大学時代に譲り受けた60年ものです。刑務所作業製品で質実剛健。
四畳半に置く勉強机には手ごろなサイズでしたが、パソコンのディスプレイとキーボードが乗る時代になると作業スペースがなくちょっと厳しくなったので、ディスプレイ分の奥行きと、せっかくなので横幅も広めの板を探しました。

いろいろな机の寸法を測った結果、サイズの奥行き70cm、横幅110cmがよさそうだということで板を探しました。そして、とっこやさんで見たブラックウォールナットの表情に惹かれて、14周年記念の20%offに背中を後押しされて買ってしまいました。
一枚板の素材屋さんで買い手を待つブラックウォールナット一枚板。厚さ60mm、35kgぐらい。

この板が気になってから購入に踏ん切るのに2ヶ月くらいかかったのは、20%引き前の7万9千円という金額(無垢でも集成材なら3万円で買えるじゃない。)と、愉快な木目ゆえに乾燥期間に生じた反りねじりがそこそこ大きそうなことでした。

ここでは、反り捩りのある乾燥材から、平面出し、塗装までの天板の加工工程を写真で追いかけます。
もちろん初めてです。

一枚板の平面出しは、いろいろなサイトでDIY熟練の方や家具職人さん達が公表されている通りですが、いざやってみると意外と気をつかったところや、いい加減でもなんとかなってしまうところがあるので、記録を残しておきます。
作業開始
既に綺麗じゃないか!で、確かに綺麗なんですが、これが台に乗せてみると、対角線の支点が浮き上がるのでねじれていることが分かります。
作業図
板を置く台は90x90の角材2本の上に、2x4のSPF材を井形に並べました。ホームセンターで、安くて直線が出ている木材を探しに、角材をくるくるまわして隣の柱との隙間を見ながら直線を比べた結果、この組合せがきちんとしていました。
建築構造用の角柱は結構曲がっていて、SPFは比較的まっすぐでした。長さはホームセンターで1カット50円で切ってもらって持ち帰ります。楽が出来るところは楽をします。

SPFの直線性が板の平面度になります。土台の角材がねじれていてもやはり平面は出ないです。
縦方向に反っています
横方向にも反っています。
反りを修正していないおかげでこんな個性的な板が7万円で手に入ります。とっこやさんに感謝、ネットの時代に感謝。このサイズでの完成品の販売価格は、座卓の天板に比べるとサイズが小さいのでお安めですが、それでも15万円以上、というか時価の世界のようです。
まずは、どのくらい反っているか反り具合の計測。
SPF材の間に渡した橋から板の距離を10cmピッチで測ってみました。
計測結果。
中央左の一番浅いところが4.5mm。左下角が20.5mm、右上角が14.5mm。反対の対角線の角は10mmくらいなので、反りとともに、結構ねじれていてそのまま置くと10mmくらい浮き上がることが分かりました。
計測したときは、浮き上がった対角線に同じ厚さの薄い合板をはさんで高さ調整をしただけですが、このまま、盛り上がっているところを削って平面にしていくのが、一枚板の残りの厚さがもっとも厚く残せる位置のようです。

とはいえ、20.5-4.5=16mmをすべて削って平面にすると、もし反対面も16mm削るとして、32mm減では、60mmの板が28mmになってしまってもったいないので、角のあまり机では使わない場所は少し低くても許すことにしました。
結局、12mmくらいまで削ったので、だいたい8mm削った感じです。

ここは、自分で作って自分で使うから許されるところ。
削り作業に入る前に井形を仮固定
平面出しの方法は、一枚板から一定の高さを確保したルーターをひたすら往復させて表面を削ることで、平面を作っていきます。
この治具の詳しいことは”一枚板””平面出し”でいろいろな方が説明されてます。
橋はたわみにくいようにある程度高さのある1 x 4材を両脇に立てて、ルーターが滑るところは合板を3箇所でつなぎました。つなぎ板はレールをはさむよりも、底の合板がねじれて変形して、ルーターの高さが変わってしまわないために重要です。

これでも誤って橋の真ん中へんで体重をかけると橋がわずかにたわんで、隣の削り跡より深くなってしまいます。なので、合板もあまり薄くても具合が悪いです。
ビット。今回購入した中で集塵機の次に高かった工具。4500円。
ビットは、なるべく径が大きい方が往復作業が少なくて楽だろうと考えて、BTMTの刃径25mm ミックス4枚刃「大入れ&プレナー」ビットというものを購入しました。ルーターはリョービの入門者用ですが、作業にはまったく問題なしです。プラスチックの台座の高さの微調整は難しいと思いましたが、差し金でコンコン叩くと微妙な調整も問題なくできました。

ビットの突き出る長さが限られているので、一枚板が橋に近づくように、一枚板の下に合板をシム代わりに入れて削られる一枚板の高さを上げています。
緊張の第一刀。ちょっと欲張って深かったので、ルーターが暴れそうになりました。
2刀目以降は、少し浅めにしました。最大2mm。
上に書いたように、ルーターに力を入れると橋がたわんでしまうので、1回に削る深さはなるべくルーターを抑えつける力を入れないでいい深さにするのがよさそう。
順次削っていきます。
削り前
第一回
二往復目
三往復目
四往復目
最後浅めに削っておしまい。綺麗な削り跡に満足。
段差があるように見えますが、段差は薄くベルトサンダーで簡単に消えます。消えにくいのは、ビットが噛んでしまって輪っかのマークがついた所。

裏も削ります。削ったところは平らで、これから削るところは凹んでいて定規が浮いている。
こちらもどんどん平面が広がっていきます。
裏面は、脚にのせる4辺の高さが同じになればよいので、これでおしまい。
デスクの表側はワイルドな耳が見えるよりも、使う面が端まで平面である方が使いやすいので、上から見て耳が見えない面積が広い方を上としました。
座卓は耳が上から見える方を表面とする場合が多いようですね。見栄えはいいけど、うっかり湯飲みを端に置いたときにひっくり返りそうで実用上どうなんだろう。
削りくずが大量に出ます
最初は60mmありましたが、50mmまで削りました。
10mm分の削りカス
削りカスが大量に出るので、今回の新兵器、集塵機(写真下)、上にスピードコントローラーが乗っててみえにくい。リョービVC-1150 12000円。
集塵機は飛び抜けてパワーがあるわけでもないけど、ふたが開かなくなるほど量がたまるまで吸引力は落ちませんでした。専門の道具はやはり快適です。
集塵機とルーターの集塵機接続口の径が違ったので、工事用資材を売っているお店でみつけた径の合いそうな100円くらいの塩ビの接続具をグラインダーで削って差し込んで使いました。水用ですかね。
径はあってつなげられたのですが、吸引口が削っている位置から離れているので、直接吸い取ってくれる量は少なかったです。
ルーターで平面を出したら、ベルトサンダーを走りまわらせる。一箇所に集中してへこまないように注意。かんなは持っていないので、一度波打ったらもう一度ルーターで平らにするしか方法がない。
平面出ました!単調な作業だけど面白い。もっと大きい板かかってこい!という気分。

ここまでの所要日数。
・構想・設計         ・・・2ヶ月
・材料買い出しと角材を並べる ・・・1日
・高さ計測          ・・・2時間
・ルーターでの平面出し(両面)・・・2日
・ベルトサンダー       ・・・30分/片面
楽しい時間は短い。

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