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2018年6月28日木曜日

ロッテルダムのトンネル型アパート (Markthal, 2014)

設計はMVRDV。非常に高い天井のトンネルの中に約100軒のフードショップが並び活気があふれています。
くらい写真ですいません
内側の華やかさとは対照的に、外はグレー色。まわりとの調和を保っています。室内マーケットというと圧迫感が感じられたり、じめじめした印象になりそうですが、それどころか開放感あふれるスペースです。上階はアパートになっています。

建物と周辺とが一体とするために、周囲の歩道と同じ石材でファサードを覆ったそうです。内部の壁画はアルミパネル4500枚で構成され、アーティストのアルノ・クネンとイリス・ロスカムが制作したもの。
奇をてらった形だけなら、ふーん面白いねで終わりますが、マーケットを楽しむにはどうしようという思想と、周辺への調和がよく考えられていて気持ちがいい建物です。
変わった建物でありながら、長く親しまれるのではないでしょうか。

レムコールハースのオフィスもあるロッテルダム。デザインを楽しむ町のようです。

鮮やかに彩られたフルーツや、花の絵が夜空に映えてます
一階にはSUMOレストラン

同じ広場に面したキューブハウス。40軒の家を45度傾けたデザイン。設計はピエト・ブロム。こちらは長生きするかは微妙。
ホテル内装も面白かった
地下鉄駅
マルクトハルの場所は、エラスムス橋から2km。最寄りはRotterdam Blaak駅。路面電車でも地下鉄でもアクセス便利です。
エラスムス橋より南の地下鉄Maashaven駅近くのホテルに宿泊しました。周辺は夜間は路上駐車が自由になっており、レンタカーを路上に止めて宿泊しました。これも合理的。

2017年9月24日日曜日

アナコンダ橋

アナコンダ橋(パイソンブリッジ、ボルネオ・スポーレンブルグ、2001)

オランダ、アムステルダム東側の運河にかかる橋です。設計はエイドリアングース(West8)
構造はラチストラス。欧州の橋梁らしく、格点は全て溶接です。あまり製作精度は問われなさそう。形鋼の組合せなので工事費は抑えられ、かつ、シンボリックな形状。
このような運河の先端という場所にはいいのではないでしょうか。
これが、駅前の近代的なビル群と並んでしまうと部材のチープさが見えてしまうかもしれません。

こちらはアナコンダ橋より運河の奥の方にかかる橋。
同じコンセプトの構造を並べるというのは、意図的に並べると面白いです。同じコンセプトが並んだケースで、同じアムステルダムで空港近くに並ぶ3つのカラトラバの橋の場合は、3つは多いなという感想でした。
ハンブルクで見た、同じ濃色の橋を湾岸地域に並べたケースは非常によかったです。この差が何かというと、やはり、個々の橋がきちんと景観にあっているというのが前提条件ということと思います。
場所は、アムステルダムの東側。アムステルダム中央駅とつなぐ48番のバスの終点がすぐ近くです。下記のようにトラムから歩いても行けます。
周辺の建築群の案内板
橋への移動は、ゴッホ美術館と国立美術館を見た後に、トラムの10番に乗ってEerste Leeghwaterstraatから歩きました。いろいろなデザイン性豊かな建築物を見ることが出来るので、散策するのは楽しいです。

この周辺では、家や事務所の前に垣根とかがなく、道路に面した家が広いガラス窓を通して部屋の中が思い切り開放的に見えます。部屋は綺麗に整理されていて、すべてがデザイン事務所に見えます。
イギリスの家庭のよく手入れされた庭を見るような感じです。
人の家を覗いてはいけないと思いながら、見られてもいいようにインテリアを楽しんでいるのではないかと感じます。私には無理です。

オランダに限らず、欧州で町歩きが新鮮に感じられるのは規格化されたコンビニがないからかもしれません。日本ではコンビニ様のおかげで生活が楽なのでこれは難しい。
そういえばコンビニが流行るところは日本や東南アジアのような享楽的な地域が多いような。偏見でしょうか。

2017年4月6日木曜日

エラスムス橋、場所を読み解く力

エラスムス橋、場所を読み解く力(1996, Lc=280m)

ロッテルダムのニューマース川に架けられた橋。行く前よりも実物を見て好きになった橋です。
デザインはUNスタジオ。UNスタジオはベン・ファン・ベルケル(Ben van Berkel)とカロリン・ボス(Caroline Bos)により設立されたアムステルダムの建築設計会社です。アジアでの設計事例も増えているようで、そのうち日本にも上陸するのではないでしょうか。
バックスパンは4本のケーブルでアンカーされています。
塔の下半分が橋軸方向に傾いていて、バックスパンのケーブルの塔の定着点は、塔の基礎位置よりもバックスパン側にあります。このためバックスパンケーブルの水平力だけでなく、鉛直力も、中央径間による塔基部回りのモーメントとつり合うように作用します。なので、ケーブル角度は通常の斜張橋よりも立ち気味です。

主塔上部で、中央径間側と側径間のそれぞれのケーブルが定着する範囲が異なるので、塔の部材に働く断面力が、曲げではなく、なるべく軸力で処理されるように、ケーブルの角度は塔の角度に近い立ち気味の角度の方が断面の設計上も都合良さそうです。
橋の片側にはレンゾピアノの設計によるKPNタワー。つっかい棒でビルを支えるようなこのビルの構造も強烈な印象を与えます。

エラスムス橋は跳ね橋とのことでどこが跳ねるのかと思ったら、バックスパンのケーブルのさらに岸側が跳ね橋になっているようです。橋の特徴的な形状とは関係ありません。
この橋のデザインは、もともとはそれほど好みではなかったのですが、周辺の構造物や景観を見ているうちに、主塔の高さや角張った形状、繊細というより剛な印象を与えるバックステイの存在が、周辺の景観に非常によく調和していると感じました。遺構として保存されているガントリークレーンごしに見ると、周辺の景色と一体で一つの景色を構成していると感じられます。

よい勉強になりました。
もっともWebサイトを見ると、強烈な曲線を多用したアンビルドなデザインも好きなようです。。
欧州の橋にしては主塔は太いように感じます。予想を超えるスケール感を感じたのは、このような経済効率からの解ではない構造が長大橋梁に適用されることは少ない、という先入観があったからかもしれません。
単純なデザインで骨太な部材。好みの形態です。

場所はメトロのWilhelminaplein, Rotterdam駅からすぐ。橋上を路面電車が走っていてアクセスは容易です。

2017年3月11日土曜日

プルメルエントの二重橋

プルメルエントの二重橋 (Melkweg Bridge, Lc=66m, アーチ構造は40mくらい 2012)

アムステルダムの北プルメルエントにある運河を渡る歩道橋です。設計はNEXT Architects。
写真ではわかりにくいですが、S字の平面の橋と太鼓橋の2つの渡り方が出来る歩道橋です。S字の橋は太鼓橋の下をくぐります。
歩道の左に船用の信号がみえる
橋の下の運河を船が通るときに、S字の橋は旋回して通れなくなります。この通れないときは航路のクリアランスが十分あるアーチ橋を渡ることが出来るという仕組みです。
ちょうど写真を撮っているときに声を掛けられた方に、船が通るときに使うんですよね?と聞いたところ、目的をひととおり説明してくれましたが、使っているかというと、うーん、そうねー。。という感じでした。
面白いデザインの橋として親しまれているが、それほど実用的にはとらえられていなさそうな印象でした。

私が見てるときにアーチを渡った子供は、S字橋を渡る親より早く渡れたと楽しそうです。周囲に高い建物があまりなく展望台にもなっているようで、機能だけではなくいろいろな使われ方で親しまれている橋のようです。
S字のコーナーのジョイント近くの下に回転軸があり、橋の中央部分を回転させて陸側に寄せてしまい込む。
S字橋の回転軸(写真左側、橋の下)
発想が面白いだけでなく、鋼コンクリートの接合部や、アーチリブとその上の床版との連結の見せ方など、隅々にセンスのいい詳細構造が見えます。アーチは太鼓状なので、水平力はあまり出ないようになっています。上手いです。
高さは12m。周辺の建物は高いものが少ないので見晴らしがいい。
自動車道A7のPurmerend-zuidを出て東へ数分。鉄道だとアムステルダムからzaandam乗り換えで行けるようです。
地図を見ると、住宅地の大部分はきれいな土地区画がされており、アムステルダムのニュータウンになっています。

2017年3月4日土曜日

オランダの自動車専用道路上の木製跨橋

オランダの自動車専用道路上の木製跨道橋 (Botterbridge, Lc=50m, 2014)

設計はZJA。
オランダの自動車専用道の上に架かる木製の斜張橋です。
木材が使われているのは、主塔と、桁の橋軸方向の梁材。橋脚やデッキは鋼製、コンクリートです。

うっそうとした森の中にあるように見えて、自動車道で分断されているDrielandenとStadsweidenの住宅地をつないでいるので、自転車の行き来は結構ありました。

最近、2年経過した庭の工作物の腐食対策で、木材の使い方を誤ったときの傷み方の早さを身を以て知ったので、木材の使われ方が気になります。

屋外の木材は、
・無対策で2-4年で腐朽
・加圧注入防腐剤で10年
・木材保護着色塗料では、キシラデコールのような含浸型で2-3年の塗り替え
・造膜型で4年での塗り替え
が目安だそうです。(参考)防腐処理ごとの耐久年数、林産試験場

1999年に耐久性が高いとされるボンゴシ材を使った愛媛県の木橋(南予レクリエーション都市4号公園)が、架設後10年で落橋しました。このときは、滞水しやすい接合部が菌で急速に腐朽したそうです。
「絶対腐らないと言う思いこみ(設計上の配慮不足)が、部材を過酷な環境に追い込み、今回の事態(耐久設計上の弱点である接合部の腐朽による断面欠損、落橋)を招いたと考えられる。」との指摘がありました。

国内の調査で、屋根付きの橋や、構造が床版の下に隠れた上路橋では、橋梁の状態がよいとの報告があります。それは当然で、1300年の耐久性を持つ法隆寺の建材は、雨に直接さらされないように設計されていてこその耐久性です。
人にも環境に優しい、1000年以上の耐久性がある、とイメージ先行ではなく、鋼、コンクリートに使い方があるように、木材は設計者の能力がより問われる材料と思います。

木橋として著名な錦帯橋も40年、50年を目処に架け替えることが望まれるとされています。橋板が腐ったら取り替えるなど、堅い維持管理があって今に伝えられていると考えられます。

さてハイデルウェイクの橋、
橋面はウッドデッキではなく、雨水が直接木材にあたらないように計画されています。高欄はさわやかなデザインです。丸太と曲線の線形が森の小道感を出していて人工物のインパクトが低減されています。
アプローチ部の橋脚、クロスビームは鋼製。支間は7,8m程度で、無理はしていない。橋脚が多いわりに、桁と橋脚がデザインで分離されているのですっきりした橋に見えます(下写真)。
まだ、google earthの衛星写真にも写ってないのに、既に外に露出した主塔の表面処理は洗い流されています。浸透材料は残っていると思いますが。

この橋は、床板は木材は選定されていませんでしたが、美しい橋を歩くと、歩路にウッドデッキを使った橋は非常に多いです。
これらの橋は、木材の使い方に習熟した上で、構造物の寿命と架け替え費用を十分認識しておかないと、将来、哀しい事態を招きそうな橋はだいぶある気がします。
写真は建設から17年経ったパリ、ソルフェリーノ橋のデッキ。そろそろ大幅改修の時期に見えます。
2008年完成のスペイン、サラゴサの第三ミレニアム橋の歩道。ステップ気候に属し、雨が非常に少ないため10年経っても健全。ただ、歩道に屋根がない左側から保護膜が傷んでいる。自然は見逃さない。

露出しているウッドデッキを見ると、一時的なパビリオンならいいけど、将来、社会事情が変わってメンテされなくなったことは心配しないのだろうかと考えてしまいます。
私は、やはり無理せず木材は屋根の下、という使い方でいいと思います。

ということで、私のこの橋の感想は、アプローチの橋のデザインはいいけど、自動車専用道という重要度の非常に高い交差物の上に木の橋を架けるのは、ちょっと大胆ではないかい?です。

場所は、オランダ、ハイデルウェイク(Harderwijk)。自動車専用道A28のハイデルウェイクのサービスエリアの近くです。サービスエリアの金網のフェンスに開口があり、そこから遊歩道を歩いて橋にアクセスできました。いつまで空いているか分かりませんが。
近所にもう一つ同じ設計者による大きな木橋があります。

2017年2月18日土曜日

カラトラバのなんちゃって斜張橋三兄弟

カラトラバのなんちゃって斜張橋三兄弟 (Lc=30-80m, 2004)

オランダHoofddropの、カラトラバの設計による3橋梁をスキポール空港側から順番に見学しました。橋が架かっている路線は2車線で、交通量は多くないです。

1.リュート
巨匠の作品に”なんちゃって”と言ったのはこのロッド。おそらくこの橋はケーブルがなくても落ちません。ケーブルの主な役割は、鉛直荷重の分担よりも主塔を倒れないように支えるのが目的ではないでしょうか。
合理的な構造として、この橋の骨組みの思想を考えるなら、リングガーダーの端部を吊った曲線橋です。また、塔に曲げモーメントを入れないために、最上段のケーブルを塔の近くに定着し、塔に水平力がはいらないようにした。という説明になると思います。でも、実情は大部分は桁の梁そのものが支えているのではないかと。

この橋でも感じられるように、この3橋は、構造条件の必然性からではなく、3つのオブジェをこのルートを特徴付けるためにカラトラバに依頼された、という見方でよいと思います。3橋の共通点はバックスパンのケーブルの張り方。上のケーブルは内側に定着、下のケーブルは最外に定着し、遠くから見るとケーブルの外縁が曲線に見えます。
重量が大きくなる桁の最縁端を吊るケーブルを思い切り寝かせて最も大きな張力が入る構造でも、塔を支えるオブジェならこれでいいのです。

2.シタール
写真右側の跨道橋を吊った水平力と、小さい運河橋を吊った力をつり合わせているんですと言いたいのはわかるのだけどバランスしているとは思えない。
カラトラバの橋梁の中では桁断面がきれいです。オランダは全般に鋼構造の製作がきれいなように感じます。
塔の軸線がずれてます。自動車走れます。

3.ハープ
唯一、構造形式が斜張橋と言えそうな橋。写真では下の3本のケーブルはケーブルらしい断面積を持っている。上の5本は、これも飾り疑惑。
カラトラバという設計家は、場所も設計条件も眼中になく新しい構造アイデアを実現することに夢中なのではないか?と感じる場面にちょくちょく出会います。この3兄弟は、運悪く、場所も設計条件もマッチしない場所に置かれてしまったように思います。基本的に彼の設計は草原や田園のような広い背景には似合わず、都会向きと思っています。

場所はスキポール空港から距離は3,4kmですぐ近く。空港でレンタカーに乗ると、左ハンドルに慣れる間もなく、高速に乗り、即降り、鉄道をくぐって、橋の近くに路駐の場所を見つけて、となるので近すぎて結構あたふたします。
昔エリア88というマンガで、ランニングテイクオフのあと一回ひねり、そして急上昇、これは曲芸じゃない、戦闘飛行だ、、とシンがつぶやいていたのを思い出しながら、小さいオペルを運転しました。

2017年2月9日木曜日

クレラーミュラー美術館とその空間

クレラーミュラー美術館

構造から離れて美術館見学ですが、美術館の所在する空間の構成が衝撃的だったので、記録を残しておこうと思いました。

森の中をドライブし、駐車場に車を止める。公園入り口のブースから、国立公園の中の草原や森の中を白い自転車に乗って、数キロのサイクリング。そして静かに現れ、かつ、全容をすぐには見せない美術館。
このプロセスの後に得る絵画との出会いは、都市の美術館での絵の対面とは確実に違う重みを与えてくれます。”演出”と言ってしまうと感じたものより軽くなってしまいますが、これだけのものを人間が作れるのかなあと、近視眼的な橋の計画プロセスとは埋められないほどの差を感じました。
手入れされた森、
草原をゆっくり走り、
美術館が見えてきます。スタッフは最小限、途中で案内やすれ違う人も少ないので、どこを散策してもいい自由な雰囲気です。
美術館へは、三箇所ある美術館から数キロ離れた駐車場から入場。パーキングと美術館の入場券のチケットを買い、フリーの自転車に乗ります。
私が車を止めたのは、公園の西側の入り口、地図で見るとIngang Otterloというバス停がある所。
駐車場の出口は無人で、入場券と一緒に買った駐車券のバーコードをかざして出ます。
アルムヘム(Arnhem)のEuropcarでレンタカーを借りて行きました。

アムステルダムのゴッホ美術館のような混雑はなく、午前中の時間のよいときだったので、筆づかいを前から横から好きなだけ眺められました。
ヘレーネ・クレラー・ミュラーにより1907年(ゴッホの死後17年)から収集されたゴッホのコレクションはファンゴッホ美術館についで2番目の所蔵数。
美術館の計画の変遷を紹介した展示室もありました。
屋外には彫刻作品が自然と見分けのつかないようなこれも見事に設計された広い庭園に配置されています。
庭園を望むカフェ。
美術館や、画家ゆかりの地によく足を運びますが、ここは世界一の美術館と呼んでいいと思います。
親しい人たちにはぜひ経験して欲しいと思わせる場所でした。

「アーティストは自分の作品を重要な場所において欲しいと思っているということです。」
とフランク・O・ゲーリーがビルバオのグッケンハイム美術館について記述していました。

重要な場所におきたいのは、テーティストより、建築家の実感じゃないかなーという気はしますが、もし、アーティストが置き場所を選ぶなら、この場所は文句なしにアーティストに同意をあたえることと思います。