2017年2月18日土曜日

カラトラバのなんちゃって斜張橋三兄弟

カラトラバのなんちゃって斜張橋三兄弟 (Lc=30-80m, 2004)

オランダHoofddropの、カラトラバの設計による3橋梁をスキポール空港側から順番に見学しました。橋が架かっている路線は2車線で、交通量は多くないです。

1.リュート
巨匠の作品に”なんちゃって”と言ったのはこのロッド。おそらくこの橋はケーブルがなくても落ちません。ケーブルの主な役割は、鉛直荷重の分担よりも主塔を倒れないように支えるのが目的ではないでしょうか。
合理的な構造として、この橋の骨組みの思想を考えるなら、リングガーダーの端部を吊った曲線橋です。また、塔に曲げモーメントを入れないために、最上段のケーブルを塔の近くに定着し、塔に水平力がはいらないようにした。という説明になると思います。でも、実情は大部分は桁の梁そのものが支えているのではないかと。

この橋でも感じられるように、この3橋は、構造条件の必然性からではなく、3つのオブジェをこのルートを特徴付けるためにカラトラバに依頼された、という見方でよいと思います。3橋の共通点はバックスパンのケーブルの張り方。上のケーブルは内側に定着、下のケーブルは最外に定着し、遠くから見るとケーブルの外縁が曲線に見えます。
重量が大きくなる桁の最縁端を吊るケーブルを思い切り寝かせて最も大きな張力が入る構造でも、塔を支えるオブジェならこれでいいのです。

2.シタール
写真右側の跨道橋を吊った水平力と、小さい運河橋を吊った力をつり合わせているんですと言いたいのはわかるのだけどバランスしているとは思えない。
カラトラバの橋梁の中では桁断面がきれいです。オランダは全般に鋼構造の製作がきれいなように感じます。
塔の軸線がずれてます。自動車走れます。

3.ハープ
唯一、構造形式が斜張橋と言えそうな橋。写真では下の3本のケーブルはケーブルらしい断面積を持っている。上の5本は、これも飾り疑惑。
カラトラバという設計家は、場所も設計条件も眼中になく新しい構造アイデアを実現することに夢中なのではないか?と感じる場面にちょくちょく出会います。この3兄弟は、運悪く、場所も設計条件もマッチしない場所に置かれてしまったように思います。基本的に彼の設計は草原や田園のような広い背景には似合わず、都会向きと思っています。

場所はスキポール空港から距離は3,4kmですぐ近く。空港でレンタカーに乗ると、左ハンドルに慣れる間もなく、高速に乗り、即降り、鉄道をくぐって、橋の近くに路駐の場所を見つけて、となるので近すぎて結構あたふたします。
昔エリア88というマンガで、ランニングテイクオフのあと一回ひねり、そして急上昇、これは曲芸じゃない、戦闘飛行だ、、とシンがつぶやいていたのを思い出しながら、小さいオペルを運転しました。

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