2016年10月1日土曜日

ボーフムWestparkと公園内の歩道橋

ボーフムWestparkと公園内の歩道橋 (10-20m,1999)

シュライヒ事務所によるS字吊橋のあるボーフムのWestparkは、旧工場跡地を整備した公園です。
エッセン、ドルトムントといえば、学生時代にルール工業地帯の中心と勉強ましたが、時代は変わり、往時の先端の構造物は役目を終えつつあります。これらの産業遺産を撤去せずに博物館や公園の一部としてリノベーションされています。

この公園の近くには、世界遺産”ツォルフェアライン炭鉱業遺産”があります。そこでは、レム・コールハースのOMAがマスタープランを提案し、ノーマンフォスターの改装、SANAAも敷地内の建築を設計しています。
往時の遺産を丁寧に残す機運と制度があるのでしょう。

スペインで採算を度外視したような構造物が建築されるように、このような整備には、素晴らしい景観を生み出すデザイナーの能力だけではなく、日常の生活に不可欠ではないものを、広く社会全体が、必要であると考える土壌がなければ実現しないと思われます。

一般的に、おそらく日本だけではなく普通の民主主義国では、社会だけでなく、クライアント・デザイナーが先に空気を読んで萎縮してしまうので、こういう大きなプロジェクトを見ると、成し遂げた社会、ここではドイツの人たちと、摩擦を乗り越えたクライアント・デザイナーに尊敬の念を感じます。

公園は周囲を土手と雑木林で囲まれたすり鉢状の地形です。
うまい具合に周辺から隔離されていて、公園内は日常を忘れさせてくれる空間になっています。公園内の緑地エリアに直線で構成された水路が、工場と自然を無理なく同居させています。

訪ねたのは平日でしたが、日光浴をする人、運動する人、ドライバーの休憩、思い思いのくつろぎ方で自由度の高い公園内に陣取っていました。
工場の本屋は残念ながら閉館していて見れませんでした。音楽のリハーサルのような音も聞こえました。
上の写真は工場主屋の反対側

この公園内にはセンスのいい歩道橋が2つありました。両方ともランダムな橋脚を持っているので、コンセプトを一致させて作られたと思います。工場の遺構を橋台に残しながら、薄い桁と柱で構成される透過性の高い派手すぎない造形でこの工場遺産にマッチしています。

下の橋は、入り口にあった上の橋よりさらに不規則な橋脚配置です。照明を柱に仕込んで余計な柱を減らしたのはいい考えだと思います。
実は、翌日、同じように橋脚柱の延長に照明を仕込んだ歩道橋をオランダのスケベニンゲン(実際の発音はちがうようです。)の近くへ見に行く予定でしたが、時間がなく見れませんでしたが、この橋を見たことで満足しておきます。

場所は、ボーフム駅から北西へ歩いて1.5km。駐車場完備。

0 件のコメント:

コメントを投稿