2016年9月24日土曜日

クノッケの歩道橋


クノッケの歩道橋 (Knokke footbridge, Lc=46m, 2007)

ベルギー北部クノッケの跨道橋。設計はNEY & PARTNERS。

ヨーロッパに旅行する機会ができたときに、まず自分の目で見てみたかったのがこの橋です。以前から写真を見て発想のブレークスルーに驚きと敬意を感じていました。
同じベルギーのグレイシュ事務所の橋梁にも斜ケーブルを鋼材で置き換えた橋梁デザインが見られ、スケールを生かした面白いデザインを生み出しています。

都会的なセンスを感じるのでライトアップの映える市街地のイメージを持っていましたが、橋梁は、ベルギー北岸の静かなところにありました。
リゾート地なので夏場はにぎわうのかもしれません。

2007年完成から8年後の訪問でした。
一枚の薄い紙をさっと巻いたような軽快さが生命線と思うので、ちょっとした溶接線周辺の変形や、排水の導き方が目に入ってしまいます。構想を100%実現するにはQCや維持管理の視線も大事だなと感じました。

この橋を題材に、Prinston大学で板厚と形状(外形は原設計のままで、塔周辺のくりぬく位置を変化)の最適設計を実施した論文がありました*。平均板厚=総鋼重を固定して、剛性が最大化するように構造内の板厚変化の最適化をしたものです。提案では、Y字のタワーの位置にも鉛直のシェルを追加すると鉛直変位が27%減るそうです。
橋は2Dの世界がほとんどなので、この橋のような形状が梁部材から想像できるうちは経験に基づく直感と簡易計算で形状が決められると思いますが、シェル構造が増えてくると、最適設計の重要度も増してくるでしょう。
*Evrard Faucheほか, Structural Opitimization of a Thin-Chell Bridge Structure, 2010.6, J.IASS

場所はKnokkeでN34を横断して架かっています。近くの路側に駐車して見学しました。


0 件のコメント:

コメントを投稿