2016年10月2日日曜日

街の中のカラトラバ、ズビスリ橋

ズビスリ橋(ZubizuriまたはPuente del Campo Volantin, Lc=75m, 1997)

スペイン、ビルバオのズビスリ橋、バスク語で白い橋の意味。
今まで見たカラトラバの橋の中では、周辺の景色にあっている橋でした。
南岸の高層ビルは磯崎新によるツインビル。イソザキ・アテアと呼ばれています。この橋もホテルのレセプションで”カラトラバの橋”と言ったら通じました。

ガウディー、ピカソ、ダリと続くこの国の現代にも生きるアートへの尊重をここでも感じました。(すいません。皆カタルーニャでした。)
橋は、片持ち梁の橋台の上のアーチ部の桁を平面曲線としてアプローチ部と連続させて一体の橋に見せることに成功しています。そして、周辺のレンガ色の建物や、緑、整備された運河施設、市街側の磯崎ビルと雑多な形式の中で、細いアーチと数が多いかわりに細い吊ケーブルにより繊細に見える橋が都会の景色の一つとしておさまっています。

カラトラバの構造はどこに設置しようと”お橋様”の構造を見よ、というところがあるので、周辺に自己主張する建物がある都会の中のほうが調和するのかもしれません。

ところで、橋面は当初のガラス張りから、サイドの景観照明部分のみガラスに変えたようです。市民から雨の日に滑って歩きにくいという不満があったそうです。
改修前の写真は下記リンク参照。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Zubizuri_Isozakitik.jpg
滑り止め舗装にされた改修後の橋面
構造は、曲線橋なので、曲線の内側の面のみをケーブルで吊ってバランスをとるという挑戦もありだと思いますが、タイドアーチのため桁下の引っ張りがかかる鋼管は直線で配置する必要があり、直線橋から平面曲線を入れ、アーチリブを傾けたことで発生した回転はある程度桁のねじり剛性でとらせるという成り立ちのように思います。
歩行者としては渡って軽やかな気持ちになるので、言うだけ野暮ですね。
通行する人も多くの人がカメラを向け、橋が愛されていることを人知れず喜んでいたのですが、この橋について、ビルバオ市と設計者の間で訴訟問題が起きているようです。
磯崎新のツインビルへ向かう追加の歩道橋を設計者に断りなく勝手につけたことをカラトラバ側が怒っているようです。
確かにとってつけたような取り付けでしたが、この渡り廊下が無いとモユア広場方面に行くのに不便だし、私もこの追加橋を使ったので、少なくとも現在は必要な動線だろうと思います。
ビルバオ市は、歩道のガラスが壊れて10年で25万EURの補修費がかかる、と別の不満も言っているので、感情的なもつれもあったのでしょうか。

2009年のビスカヤ県の裁判では、著作権が一部認められ、カラトラバへ3万EURの支払いが認められています。スペイン語のニュースをGoogle翻訳で読むと「柵を元に戻すように」とも読めるのですが大雑把なことしかわかりません。
ちょっと気分の悪いオチがついてしまった感じです。

橋はグッケンハイム美術館の500m上流にあります。ビルバオは西のバスターミナルから東のズビスリ橋、旧市街までコンパクトな街で、歩いてアクセスできます。
疲れたら真昼間から冷たいビールで一息ついて再出発。アンダルシア地方もたいがいでしたが、バスクもこの世の天国認定です。
ピンチョス。安い、うまい、見た目だけで幸福にさせてくれる。

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