2016年9月24日土曜日

シェイク・ザイード橋

シェイク・ザイード橋 (Sheikh Zayed Bridge, Lc=140m, 2010)



アブダビのシェイクザイードモスクの裏手にあるシェイクザイード橋。ザハ・ハディッドのデザイン。

ザハ氏のイラク出身という起源によるものなのか、デザインがカリグラフィーのようで、アラブの雰囲気に非常になじんでいます。
経済性や構造デザインとしては割り切った構造と思いますが、ドバイとアブダビのフォトショップで思いつきを形にしたようなビル群に悪酔いした後にこの橋を見てホッとしました。
通常は、どちらかというとザハのデザインは現実感がなく景観から浮いていると見られることが多いですがここでは逆です。ボリュームも造形もやっぱザハすげー。好きです。構造云々ではなく、好みなので仕方ありません。

橋梁としては、メインスパン以外は支点間隔が短く、吊られている1径間以外は50m程度の連続桁橋。
支持地盤が良いとは思えない場所なので、主径間のアーチの水平力をとるための構造が必要です。左岸のアーチリブの跳ね上がりは側径間の桁の重量で水平力をとるバランスアーチとして働いているように見えます。また上の写真でアーチ支間が短くなるごとに大きなコンクリートブロックで水平力を取っているのかもしれません。
道路をアブダビ郊外側から走ると、小中大の順で山が眺められるので、こちらから見るのが正面のようです。
これだけの彫刻を残せれば幸せだろうと思います。潔く豪快な彫刻でした。

アブダビは日中は常に40度を超える猛暑なので、少し遠い所に行くならば車移動が基本。
主要道路のわきには、植樹帯が設けられていました。砂塵からの道路の保護のためという管理上の目的もあると思われます。
この植樹帯の維持のために、散水パイプが延々と施設されており、砂漠の発展の過酷さが伺えます。このような散水パイプや、電力の配給がなくなれば、この都市の大部分はあっという間に荒廃してしまうのでしょう。

空調されたショッピングモールに入れば、東南アジアの都市ともかわらないジェネリックシティの一つですが、どこよりも確信犯的な開発が求められる地域です。

月面移住の予行演習をしているような都市、というのが私の短い滞在の印象です。


なお、シェイクザイード橋付近の道路は駐停車・撮影禁止。監視カメラあり。近くの清掃車の停車場らしきところに車を止めて歩いたけど駐車が気になります。
橋梁はE10の高速道路上。歩道はありません。
ザハらしい曲線のインパクトがあるのはアブダビ空港側の桁下空間です。

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