2016年9月26日月曜日

バック・デ・ロダ橋

バック・デ・ロダ橋 (Pont Bac de roda, Lc=wikiによると46mだがアーチスパン70mはある、1987)

バルセロナにあるサンチャゴ・カラトラバの初期の設計。

4本のアーチリブを組み合わせた形態で、片側のアーチを構成する2本のアーチの三角形の回転をそれぞれずらして、アーチ頂部での接合を工夫されており考えられたなあと思います。

照明のデザインはそれ以後の構造物に共通するカラトラバ風なデザインが見られます。

一方で、形態は凝っているけど、疑問もわいてしまう初期の設計。

構造形式は、おそらく片側の2本のアーチを主構造のアーチグループとして、中央の車道の床版を支持しているのですが、その2本のグループの外側のアーチリブは基礎まで連続しているが、車道側のアーチリブは床版で止まっており、内側はローゼアーチ。構造解析をすれば答えは出るのだろうけど力の流れが明確ではない気持ち悪さが残ります。

また、アーチリブの結合部分の構造を見ると、アーチリブの全耐力と、ヒンジ部の構造、隅角部の構造が貧弱に見える。鋼コンクリート複合構造のアーチリブもスマートに収まっているけど、スマートにするだけの技術が入っているのかなという感じで、構造技術からすると初期の作品なので形状重視、と感じてしまいました。
穴に通したピンに2本のハンガーをバランスさせて止めているケーブル定着部も偏心が生じそうで、伸縮や支承など接合部の詳細は日頃触れる道路橋の設計と比べると、耐久性や不確定要素を割り切った感があります。
橋梁計画の大事な前提条件と思われるアーチリブと兼用の橋の下へ降りるための歩行者用階段はすべて進入禁止となっていました。
カラトラバ氏の構造デザインは、たびたび”なんだこれは”と岡本太郎ばりに驚かしてくれるので大好きですが、たまに、この構造は彼の脳内に先にモノがあって、それを設置する場所を解読することなく置いてしまったのでは?という構造物に出会うことがあります。

この橋の歩道にもそれを感じました。
ということで、カラトラバ作品に触れるのであれば、もうすこし後期のリエージュ駅などを見たほうが素直にびっくりできました。

場所はサクラダファミリアより北東方向。地下鉄Bac de roda駅から300m、橋を渡った先の地下鉄Navas駅からも歩けます。

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