2016年9月30日金曜日

ズウォーレの赤い鉄道橋

ズウォーレの鉄道橋 (Railway bridge over Ijssel, Lc=150m, 2011)

ズウォーレの古いトラスアーチの近くに架けられた鉄道と自転車道の併用橋。

入札はデザインビルドで行われ、受注者に基本設計が含まれており、設計者は読み取れませんでした。

橋梁形式は曲線の美しいトラス橋。
思い切って吊り材を太く、アーチのように見える上弦材を浅くしたことで、曲線の面をくりぬいたような造形に見えます。トラスの煩雑さ、やぼったさは一切ありません。

天気が悪く写真は残念ですが、赤色が周辺の牧草地に映えます。

構造物のスケールが大きく、かつ、ボリュームのある部材でざっくり構成される。ザハのアブダビの橋もそうですが、これは私のツボです。
構造として世間に正当化するなら、構造を構成する材片数が少なく、溶接延長やボルト継ぎ手数が少ない、製作性、維持管理に優れた構造といえるでしょうか。正直、好みを正当化する後付けの理由ですが、書いていて自分で納得してしまいました。
この橋の造形を効果的に示したのは、部材寸法の選定とともに、継ぎ手を全溶接としたことが要因としてあげられると思います。

構造によっては、明石海峡大橋の主塔のようにボルト継ぎ手をものともせず美しく映える構造もありますが、この橋の場合、全長930mの桁側面が途切れなく連続していることが、溶接継ぎ手としたことで強調されているように思います。
自転車道側の高欄、兼、縦桁の表面も連続させており、強い意思を持って連続させたようです。

日本では多摩大橋(アーチ)が同じように461mの橋梁を溶接構造で連続させています。日本は架設時の時間短縮と品質管理が容易なことからボルト接合を採用する傾向が強いですが、多摩大橋では増加する溶接作業への配慮とともに、特に目線以上の部材の溶接は大変美しく仕上げられています。
日本でも現場溶接品質の向上や詳細構造の改善とともに、人目に付くところは現場でも溶接接合とする選択が増えてきたようです。

この橋には自転車道が敷設されています。自転車交通量は多いです。さすがオランダ。
こういう道を通えたら毎日楽しいと思います。


場所はズウォーレ(Zwolle)駅から南西に2.5kmの場所です。橋の東岸の土手から河川敷の道におり羊さんたちの近くに車を止めて歩いて見て回りました。

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