2017年2月9日木曜日

クレラーミュラー美術館とその空間

クレラーミュラー美術館

構造から離れて美術館見学ですが、美術館の所在する空間の構成が衝撃的だったので、記録を残しておこうと思いました。

森の中をドライブし、駐車場に車を止める。公園入り口のブースから、国立公園の中の草原や森の中を白い自転車に乗って、数キロのサイクリング。そして静かに現れ、かつ、全容をすぐには見せない美術館。
このプロセスの後に得る絵画との出会いは、都市の美術館での絵の対面とは確実に違う重みを与えてくれます。”演出”と言ってしまうと感じたものより軽くなってしまいますが、これだけのものを人間が作れるのかなあと、近視眼的な橋の計画プロセスとは埋められないほどの差を感じました。
手入れされた森、
草原をゆっくり走り、
美術館が見えてきます。スタッフは最小限、途中で案内やすれ違う人も少ないので、どこを散策してもいい自由な雰囲気です。
美術館へは、三箇所ある美術館から数キロ離れた駐車場から入場。パーキングと美術館の入場券のチケットを買い、フリーの自転車に乗ります。
私が車を止めたのは、公園の西側の入り口、地図で見るとIngang Otterloというバス停がある所。
駐車場の出口は無人で、入場券と一緒に買った駐車券のバーコードをかざして出ます。
アルムヘム(Arnhem)のEuropcarでレンタカーを借りて行きました。

アムステルダムのゴッホ美術館のような混雑はなく、午前中の時間のよいときだったので、筆づかいを前から横から好きなだけ眺められました。
ヘレーネ・クレラー・ミュラーにより1907年(ゴッホの死後17年)から収集されたゴッホのコレクションはファンゴッホ美術館についで2番目の所蔵数。
美術館の計画の変遷を紹介した展示室もありました。
屋外には彫刻作品が自然と見分けのつかないようなこれも見事に設計された広い庭園に配置されています。
庭園を望むカフェ。
美術館や、画家ゆかりの地によく足を運びますが、ここは世界一の美術館と呼んでいいと思います。
親しい人たちにはぜひ経験して欲しいと思わせる場所でした。

「アーティストは自分の作品を重要な場所において欲しいと思っているということです。」
とフランク・O・ゲーリーがビルバオのグッケンハイム美術館について記述していました。

重要な場所におきたいのは、テーティストより、建築家の実感じゃないかなーという気はしますが、もし、アーティストが置き場所を選ぶなら、この場所は文句なしにアーティストに同意をあたえることと思います。

2017年2月5日日曜日

コルドバのメスキータ

コルドバのメスキータ (8世紀~16世紀)

2万5千人収容のムスリムの礼拝堂だった建物の中央にキリスト教の教会が新設された2つの様式が同居する不思議な建築物。
15世紀にキリスト教の大聖堂からモスクに転用されたイスタンブールのアヤソフィアの逆です。
改築を指示したカルロス一世は、中央部を破壊し改築中のメスキータを見て、メスキータがこんな素晴らしいものと知っていたら、工事に許可を与えるのではなかった。と言ったと伝えられていますが、そうだとしても広い列柱が占めるメスキータが広く残っており、往時の技術に敬意を持つ感性は大事だと思います。

構造だけでなく、大理石の色合いの妙、赤いれんがと石を組合わせて装飾された二重アーチが延々と連なる様は壮観です。

Wikiより、建物の変遷は次の通り。

784年 - コルドバの初代アミールアブド・アッラフマーン1世の命により、モスクとして建設される。
961年 - ハカム2世の命により、拡張工事が実施さる。
987年 - アル・マンスール・イブン・アビ・アーミルにより拡張工事、現在のメスキータの形となる。
1236年 - カスティリャ王フェルナンド3世の軍によりコルドバ征服。モスクはカトリックの教会に転用される。
16世紀 カルロス1世により、メスキータ中心部に身廊が増築される。

柱の右側がイスラム建築、左側が挿入された中央部の教会堂。ゴシック様式のリブ・ヴォールトの天井が見える。

偶像、装飾てんこ盛りの教会部分

主要なモジュールである大理石の柱と二重アーチは、他の構造物から転用した大理石の柱を使って高い天井を作るために考えられた構造だそうです。
石積み構造なので、基本的には載せるだけの構造で、設計者はきゃしゃに見える柱の上に重い屋根を積み上げていったときに、さぞ、崩れないか恐ろしい日々を過ごしたのではないかと想像します。これだけの柱が、曲げを伝えない部材で、何かの拍子に水平力がかかればこてっと倒れてしまいそうです。
引き合いに出したアヤソフィアの大ドームは完成までに崩れたり、ゆがんだりを繰り返したようです。こちらはどうだったのか、どんな試行錯誤を乗り越えたのか、エンジニアの挑戦の過程に興味をひかれます。

今回の旅行で時間的にアルハンブラ宮殿かメスキータのどちらかを選ばねばなりませんでしたが、成り立ちの面白さや連続アーチの独自性から今回はこちらに行きました。
非常にユニークかつ、構造が美しく、ここは行ってよかったです。

塔の上から構造全体を見たかったですが、14:00から16:00まで昼休みで入れませんでした。残念。


その他コルドバの観光

コレデラ広場(Plaza de la Corredra)
最初の建物は17世紀にたてられ、19世紀までは役所や刑務所として使われていた。マーケットが併設されている。広い中庭では、闘牛にも使われていたとのこと。
113×50mの広い長方形の広場をビルで取り囲む景色は近代のコロッセオという感じ。

このスケールの大きさと単調さの組合わせは最高です。

バー(Califa)
オリジナル地ビールの店。このバーにかかわらず、駅から街中に午前中からビールが飲めるバーがいくらでもあります。IPAうまかったです。
歩き疲れて、このバーでのどを潤していたところ、幼稚園の兄弟の送り迎えのお母さんが子供とやってきて一杯。遅れてきたスマートな感じのお父さんがまた一杯。
明るい太陽と、アンダルシアの人たち、で、のどが渇けばビール。この世の天国かと思う一方で、こりゃ同じEUのドイツが同じ負担させられたら怒るわ、というのも感じました。



ローマ橋
1世紀に作られたアーチ。橋脚断面は太った飛行機の翼状。河床も滑らかに改修済。

コインロッカー
コルドバ駅の出口を出て、右下にお土産屋さん兼コインロッカー屋さんがあります。3ユーロ。身軽に歩きたい方に。
http://blog.his-j.com/madrid/2015/05/post-42d1.html



ネイメイヘンの床版歩道橋


ネイメイヘンの床版歩道橋 (De Lentloper, Nijmegen, 30+52+56+52+30m, 2015)

設計はローラン・ネイ(NEY & PARTNERS)
ネイメイヘンのワール川の中州に架かる出来たばかりの歩道橋です。

到着したとたんに、向こうから、三人ビキニの女性の自転車が。
一瞬何が起こったか目を疑いましたが、この辺の河川敷は、ビーチになっていて、手前には売店のワゴンも出ていました。
下の写真では欄干から子供が川に飛び込んで遊んでいます。
すでに公園の遊具のようになっています。愛着をもって使われているのは見ていてうれしいです。

奇抜なデザインにもかかわらず、すっかり周辺に溶け込んだ印象を与えているのは、護岸上の歩道の煉瓦が橋にも使われていること、橋の上には車両防護柵も照明柱もないシンプルな橋上への配慮も影響していると思われます。
橋は変わった構造です。
中央部分と外側の歩道部分に段差があり、その外側の歩道が浅い吊り床版形になっているので、このスラブにPCが入っているのでしょう。ネイのHPではオメガshapeと呼んでいます。

内と外の歩道のライズ差が大きければ、上の段がアーチとなるレンズトラスですが、アーチ軸力を期待するほどのライズではありませんので、中央で桁高を稼ぐための段差と考えられます。


コンクリート表面は建築並に綺麗で、水面が反射するくらいの滑らかさに仕上げられています。
下の隣接橋の施工写真を見ると、型枠に樹脂塗料が塗られている様子はなく、木目が綺麗に出ているので、オランダ流の型枠表面処理があるようです。

ネイというと、軽やかな鋼橋のイメージでしたが、この街では、この橋と下流のアーチ橋De Oversteekのアプローチ部と、コンクリートの表面処理にこだわった2橋を見ることが出来ます。

隣の橋。400m上流の道路橋(Waalbrug Extension Bridge Lc=52-79m)

この橋の形状も単純だけど橋としてはあり得ない三次元曲面を持っています。
フランクゲーリーの建築のように、設計図面を元にした施工(型枠製作)が容易となるシステムが構築されているのだろうと想像します。
この橋が美しいかというとちょっとうなずけないところはありますが、工事の中で、安易な直線化、形状の簡素化が、事業費低減のため(場合によっては施工者が自らの利益を出すため。)の設計の能力の見せ所と正当化されるような考え方は、実は施工を知れば知るほど設計者にも染みついていたりします。
発注、設計、施工の三者が、率直な相互理解、おそらくこれが美しい構造物を作る最も力のいる作業と思います。目的を見据えて上手く協働していかないといけないですね。
写真は海外のサイトから拝借しました。リンク元

この曲面橋の歩道。オランダの自転車道は本当に気持ちよく作られてます。

De Lentloperの場所は、ネイメイヘンでワール川を渡る鉄道橋の東隣です。川の土手に車を止めて見学しました。水浴びの人たちが同様に縦列駐車しています。
鉄道を越えた1.4km下流には、同じNEY & PARTNERSの巨大な285mのアーチ橋があります。

2017年1月29日日曜日

サラゴサのパビリオンブリッジ

サラゴサのパビリオンブリッジ (Bridge pavilion, Lc=185m, 2008)

サラゴサ万博会場の入り口、エブロ川にかかる歩道橋、兼、パビリオン。
ザハ・ハディッドの作品。
廃案となってしまった国立競技場のザハ案に対して、元首相が「生牡蠣がどろっとしたような。。。」という発言をしていたときに、無知はおそろしいと思って聞きましたが、この橋の橋脚周りを見て思い出してしまいました。
前夜、ザハ氏のデザインしたのホテルに泊まって興奮した私ですが、この橋については、万博仕様から、日常ユース用に、リノベーションしてほしいです。
この橋脚周りは醜い。。
土手の鉄製護岸も短期仕様のようで、はりぼて感が出ています。
橋の入り口は閉鎖されていて渡れませんでした。

完成した現物で見るだけでは、主構造は隠されており判読不能です。中にはアーチリブのようなものが見えますが、ライズが浅く、アーチ橋ではなさそうです。
あまり外から見た印象がよくなかったので、構造を追いかける気持ちはわきませんでしたが、やはりなぜこのような重い物が残ったのか気になったので、帰ってから骨組みが見える工事中の写真を探しました。
https://en.wikiarquitectura.com/index.php/Bridge_Pavilion_Expo'08#Construction

施工中の写真を見ると、流体を表現するような装飾のためにカバーされていると思っていた桁下のナメクジの足は、桁が太ったもので構造部材のようです。一般的な箱桁として、標準的な支間桁高比を1/22とすると桁高は8m。
アーチリブのようなものも、単なる屋根にしては断面が大きいので、桁の負担が大きいランガー橋というのが私の見立てです。

橋梁も歩道橋ならば形態優先でなんとでもなりますが、185mクラスとなると、ファサード、ディテールは形態を追求しても、計画は構造デザインが主導し、構造のデザイン・骨組みの多様性が形態を示す領域と思います。この橋は若干形態が勝ちすぎたバランスのように感じました。
入り口からのぞくと、桁から上はわくわくさせてくれそうなザハ氏らしいなめらかな階層構造がみえます。駅側の入り口が1つで出口が3つになっており、内部がどのような流れになっているか興味がわきます。
ぜひ、歩道橋、兼、カフェ・展示場などとして改装して人のいる場所にしてほしいです。
280mの橋。工事費35million Euro。一過性にしてしまう規模ではないです。

場所はサラゴサ駅からエブロ川ヘ向かって歩いて20分。
この橋は渡れないので、3つの出口へ行くには、上流の世界最長のコンクリートタイドアーチ橋、テルセルミレニオ橋まで迂回します。

2016年10月9日日曜日

ユトレヒト大学の学校施設エデュカトリウム

ユトレヒト大学の学校施設エデュカトリウム (Educatrium, 1997)

ユトレヒト大学内にある施設で、一階に食堂、二階にそれぞれ500人収容の2つの講堂が入っています。(以下、学食)
設計はレム・コールハース。
同じ斜めのスラブを持つ建築で、コールハースによるクンストハル美術館では、構造デザイナーのセシル・バルモンドが、斜めの床と、それに直交する斜めの柱の構造を提案しています。
この美術館の説明によると、斜めの柱を建てる目的が先にあって、斜めの柱による水平力(曲げモーメント)を中間の斜めの床に取らせてその床の下の水平力(曲げモーメント)をキャンセルさせたと、バルモンド氏の著書で読みました。
この学食の構造設計は同じ人かはわかりません。
この学食では、基本的に柱は床の傾きにかかわらず鉛直です。しかしながら、最もファサードに近い柱が、魅力的で気にさせてくれます。
コンクリート側が圧縮、鋼材側が引張と考えると、1本の柱に置き換えれば、クンストハルの床に垂直どころか反対側に傾いた柱と等価になってしまう?おや、と思うと傾斜の上側の柱は、コンクリートと鋼材が逆になったV字です。
単純に考えれば、スパンを飛ばしたV柱とV柱の間の天井のスラブの曲げを支えている+水平移動を固定している、となりますが、答えはどうなのでしょう。

このような設計・施工の面倒な組み合わせを躊躇なく入れるのは面白いです。部材それぞれは単純なのにひっかかりました。しかも、この組み合わせは建物の中でここだけ。

下の写真では手前のホール側は丸柱、奥のほうは角柱で、手前と奥で一度構造をリセットしたような感じです。
土木分野では、大規模構造の中で、連続性を生かした構造に美しさを感じることが多いです。ですが、この建築は、そんなことをやっている暇はない強烈な詰め込みぶりです。
他の建築も見てみたいと思いました。

→(追記)
さて、実物を見て1年以上経って、構造エンジニアとV字の柱の理由がわかりました。
構造エンジニアはオランダのエンジニアリング会社ABTのRobert Nijsseのグループです。
V字の柱がここだけにある理由は、2階の曲面壁側にある2つの講堂の4つの壁のうち、道路に面したこのV字の柱が設置されている壁だけがガラスで出来ていて、設計者コールハースの意向で、そこには柱が立てられなかったという制約から生み出された構造とのことです。
35mスパンの屋根のスラブを支えるために、”スパンを飛ばしたV柱とV柱の間の天井のスラブの曲げを支えている+水平移動を固定している”となったようです。
その他にも、講堂(20mスパン)や下の写真のような広い空間についても、スラブの厚さは全て400mm以下との条件があったそうです。

コールハースという建築家は、建築の成り立ちとなる前提条件を整理した、建築でいうプログラム、ダイヤグラム、時に物語と呼ばれるものを作るのが優れているそうですが、それはざっと見学しても何となく詰め込んでいるなあという程度しか分かりませんでした。

ただ、デザインに見える斜めのスラブは、スロープとして一階と二階の境界をなくし、ホールの傾斜となり、駐輪場を分割し、無駄がない構造体として機能していること。丸かったり(ホール)、広かったり(食堂)するスペースが、ひとつの特徴のある形の建物に上手く収まっているなあと感じました。

学食は学校の施設なので、カメラをぶら下げて入るのはほんの一瞬ためらいます。でもひとつ見せてもらったおかげで、いろいろなコールハースの記事の内容が頭に入ってくるようになったので行ってよかったです。

大学内はこのほかにも派手な建築物が多くあります。
NMR研究所、UNスタジオの設計

学食前の駐車場はコイン式で30分無料です。もちろん部外者用ではありませんが。。

2016年10月8日土曜日

リスボン万博シザのパビリオン

リスボン万博ポルトガル国パビリオン (Portuguese National Pavilion Expo 1998, Lc=80m)

パビリオンのアーキテクトはアルバロ・シザ。エントランスのキャノピーの構造デザインはセシル・バルモンドのグループ(Arup)です。
シンプルで今まで感じたことのないスケール感をもつ構造です。大きくて細かいところがないので、とりあえずは立ち尽くします。

バルモンドが建築と都市AUの記事で、このキャノピーの計画について、
「当初、私はマストとケーブルそして軽量な金属の屋根によるハイテクな解決策を考えていたのだが、そのデザインは軽やかではあるが強さに欠け、気候やシザの作品がもつ雰囲気にふさわしい永続性や実直さをもち合わせていないと考え、そのアイデアを反故とした。」

と述べています。アーキテクトと構造デザイナーでどのような擦り合わせがあるのかわかりませんが、確かにシザとハイテク素材の組み合わせはピンときません。永続性という点では、16年を経過してなお美しく古さを感じさせない状態で、構造デザインの力量を感じます。
吊床版の厚さは150㎜。浮かんでいるように見えるスラブの重量は1000トンです。ポストテンションと説明があります。
施工ステップを見ると、支保工で完成時のカテナリーの位置でスラブを支えたまま、両方の建物から、両端に空間を開けた状態でケーブルにテンションを入れています。幅の広い吊り床版橋。
両側の建物は頑丈なリブが支間方向に入っており、1000トンの自重による水平力を支えるアンカレイジになっています。
コンクリート表面は美しく、プレストレスが効いています。

場所はリスボンオリエンテ駅から海側へショッピングセンターを抜けて徒歩5分です。
オリエンテ駅がカラトラバのこれまた”なんだこれは”な建物なので、駅を降りてから、一度立ち尽くしてこのパビリオンまで2時間かかると申し上げておきます。

アルムヘム中央駅、解析技術と形態

アルムヘム中央駅 (Arnhem Central station, 2008)

アーキテクトはUNスタジオ。構造デザインはセシル・バルモンド(Arup)。
駅は、エントランスホールと、駐車場・バスターミナル・オフィス棟の2つが連続しています。
奇々怪々な形状をしたエントランスホールです。美しいのかどうかというより、面白い形だなという印象です。
特徴的なねじれたスロープは、飾りのように見えて、ねじれた中心の壁のようなものと、天井が垂れ下がってきた壁が建物を支える柱になっています。

構造の発想としては、バルモンドやコールハースの著書で見かける、壁であり、柱であり、床となる、自由な構造体の究極な形です。コンピューター設計ができることを形としてあらわした建築の中の一つといえるかと思います。

材料の進歩とともに、解析技術の進歩もあたらしい構造物を生み出します。

橋の世界でいえば、変形法による解析が一般化したおかげで、マルチケーブルの斜張橋が世界中で作られるようになりました。張力の相互作用が手計算では到底追いかけられなかった時代には、数本のケーブルに集約し、ケーブルの張り方はハープタイプの配置が主流でしたが、最近では、マルチケーブルの橋が中進国でも当り前のように設計されるようになりました。
これも、せいぜい30-40年くらい前に電算機の性能とそれを生かした数値解析ツールが発展してからの話です。

常識は常に更新していかないといけません。

この建物のように、床、柱、壁の概念が混ざると、おそらく建築設計基準にも、床、柱、外壁ごとに設計基準があり、または、材料ごとにコンクリートスラブ、複合柱などで基準が定めらていると思うので、途中で役目が変わっていく主構造に対して、そういう基準の壁を乗り越える必要があると思います。
設計者は、床と壁の遷移部分も自信をもって力学的に説明できると思いますが、基準には、経験的に積み上げられた規定、これも、過去の失敗、被災から学ぶたびに更新される貴重な積み重ねがあります。

少なくとも日本ではこのような基準内の適用の解釈を柔軟にすることは容易ではないだろうという気がします。

オランダはこのような構造物が多い気がしますがどうなのでしょう。

この常識を超えた構造を見ながら、新しい技術で複雑な構造を解くチャレンジだけではなく、現実社会の許認可を突破するだけのエンジニアの深い知見とエネルギーが必要だったのだろうなあと、想像しました。
このねじれが柱に見えてくるには時間がかかります。

コルビジェはじめ、現代建築ではスロープが建築の大事な接続に象徴的に使われているようですが、このホールはほとんどがスロープで階層が接続されています。
おかげで、入り口からプラットフォームへ行く流れ、トロリーターミナルからオフィスへ行く流れ、自由な人の動きを阻害するものはなにもなく、自由な空間になっています。

ところで、アーネムにはデュッセルドルフからICで到着する予定でしたが、寝過ごして次の停車駅ユトレヒトまで行ってしまいました。おかげで、この日の予定は2時間遅れ。
今も出発のピーが鳴ったときの焦りを思い出します。
寝坊の原因?デュッセルドルフ名物、わんこそば式アルトビール。ビールが空に近づくと、トレイにたくさんのグラスを積んだウェイターが新しいグラスを置いていきます。写真ではコースターに4本線が入っているので、250ml x 4=1L。
一日歩き回った後のアルトビールはほんとにおいしい。

クライミングウォールの製作(その2)ホールド作り


クライミングウォールの製作(その2)

[ホールド]

ホールドは購入するつもりでしたが、子供にもったいない、作ろう!と言われて、木で製作しました。
意外と簡単に作れるようになったし、とくに不自由もないのでうちは全て木製です。

ホールドの木は、近所の新築の家の端材や購入した厚板から切り抜きました。
ホームセンターではホールドにできるような厚みのある板はないので、無垢材を販売されている信州・黒姫のとっこやさんというところでネット注文しました。ホールドに適した、小片で、硬くて適度に加工しやすい広葉樹が良心的な値段で販売されてます。
ジグソーの歯で切れるのは厚さ70mm程度で、そのくらいあればだいぶ遊べるものが作れます。

加工手順
1.板に外形をけがく。
2.ねじ山の埋まる大きい穴をあけ、ついで貫通する小さい穴をあける。
3.ジグソーで外形を切断。
4.くぼみなど傾きをできるだけジグソーで削り取る。
5.グラインダーで好みの形になるまで削り出す。

ざらざらした感じがよいので、仕上げのやすりがけはしていません。
ジグソーで形をとったところ

うちのグラインダーの回転数は12,000回転で高速すぎて、堅い木材は簡単に焦げてしまいました。また、替え刃は紙ヤスリの束とはいえ、皮膚に当たればえぐれます。

ということで、スピードコントローラーを追加で購入しました。
購入したスピードコントローラーは新潟精機SP-110。他に安いものもありますが、安いものは低速でカクつくとの評価があり、この製品にしました。低速まで安定して減速できる良い製品でした。グラインダーと、もっと危険なトリマーを使うときの必需品になっています。
私の仕事場、鋼構造の現場では、みなさんグラインダーを手足のように使っていますが、革手袋必着で、しっかり防護して、誤動作がないように集中しないと恐ろしい機械です。

グラインダーを使う前は、削り出すためにやすりや彫刻刀を駆使したり、ドリルにやすりのビットをつけて削ったりしましたが、グラインダーを使うと作業性100倍。それまでやってたことがばかばかしくなります。

ついでに万力付きの作業台もつくりました。

写真手前左のすのこ台ではちょっと無理が出てきたので。
天板は黒姫のとっこやさんで出ていた玄圃梨(ケンポナシ)。木工の練習がてら作ったぜいたくな作業台です。やすり掛けして透明ニスを塗っただけできれいに木目が出ました。

外に置いていたら、万力がさびてきたので、スチールウールで錆びを落として、メッキ部材の保護でおなじみのローバルを塗っています。
家でローバルを使うとは思わなかった。

[マット]

下が不安だとやる気がなくなるので、30cmの厚いマットを準備しました。
市販品は高いので、スポンジとカバーを別途購入して、自作しました。自作といってもほぼ加工の要らない状態で届くので、スポンジを接着して、カバーの中に入れるだけです。

スポンジはストライダー社様に注文しました。
スポンジの外のビニールカバーは、指定サイズを製作してもらうとかなり予算オーバーとなってしまうことがわかったので、市販の交換用カバーのサイズ(1,500x2,000x300; 中津テントKS-338)にあわせて、中身のスポンジを注文しました。

スポンジの標準製造サイズが1000x2000だそうで、足して目的のサイズになるように300mm厚と150mm厚の標準サイズスポンジを切断して送ってもらい、2つのスポンジを3Mスプレーのり77で貼り付けました。150mm厚を2枚重ねて500x1000x300mmにするところはストライダー社様でやっていただきました。

値段はカバーが28000円、ウレタンが25000円+送料、消費税。ウォールを含めた総制作費のだいたい半分がマット代です。

[クライミングシューズ]

シューズは目白のカラファテさんで購入しました。
我が町の登山用品屋さんでは子供サイズのシューズは在庫が無く、東京まで出向きました。店員さんの知識も品揃えも豊富で行って大正解でした。
クライミングシューズのサイズは、レンタルシューズで使っていたものより、さらにきつきつのサイズが適性だったことを知りました。大人は、裸足ではいて、30分くらいが限界と思えるくらいでちょうどいいとのことでした。